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「習近平は2027年までに台湾侵攻を強行する」台湾有事Xデーはいつだ

(c) AdobeStock

 中国の情勢に詳しい元朝日新聞編集委員でキヤノングローバル戦略研究所主任研究員の峯村健司氏は、「習近平国家主席は2027年までに台湾を併合するだろう」と話す。その根拠やトランプ政権が台湾有事に与える影響について、峯村氏にうかがった。みんかぶプレミアム特集「危機の時代を生き抜く」第7回。

目次

台湾併合は習近平の“悲願”

 私は従前より、「習近平氏は2027年までに台湾併合に踏み切る」と言ってきました。その最大の根拠は、憲法改正です。習は2018年、それまで2期10年が上限と定められていた国家主席および副主席の任期を撤廃しました。

 この任期は文化大革命などを引き起こした毛沢東の独裁の反省から設けられたもので、それゆえに任期の撤廃には中国共産党内部からも強い不満が噴出しました。そこで習氏は、「祖国統一を実現するには10年では時間が足りない」と党内を説得したそうです。

 つまり習氏にとって、3期目が終わる2027年までに、何としても台湾を統一しなければならない宿命なのです。

 研究者の中には、「中国の経済状況が悪化している中で、台湾統一に踏み切るような余力はないはずだ」と話す人もいます。ですが中国の2025年の国防費は前年比7.2%と、4年連続で7%超の伸び率を見せています。

 また中国共産党は、日本や米国のように選挙を通じて国民の負託を得ているわけではありません。そのため常に、国民に対して統治の正統性を示していくことが求められています。

 そう考えると、中国の経済が豊かであれば、それによって自分たちの正当性を証明できますから、台湾を併合する必要性は低下します。経済状況が悪化したほうが、台湾併合の蓋然性が高まるのです。

 ほかには「ロシアがこれだけウクライナ戦争で苦戦しているのを見ているのだから、習近平は台湾統一を放棄するはずだ」とする意見もありますが、それも誤りです。そもそもウクライナは独立国家であるのに対し、台湾は国連加盟国ではありません。またウクライナのように、物資を供与してくれる陸続きの友好国もありません。

トランプ政権の誕生が台湾有事を前倒しする

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この記事の著者
峯村健司

キヤノングローバル戦略研究所主任研究員。北海道大学公共政策学研究センター上席研究員。1974年、長野県生まれ。朝日新聞入社後、北京・ワシントンで計9年間特派員を務める。ハーバード大フェアバンクセンター中国研究所客員研究員、朝日新聞編集委員を経て現職。2011年、優れた報道で国際理解に貢献したジャーナリストに贈られるボーン・上田賞を受賞。著書に『十三億分の一の男』(小学館)、『潜入中国』(朝日新聞)など、監訳書に『中国「軍事強国」への夢』(劉明福著、文春新書)がある。

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